組み合わせ

お世話になっております。大阪出張所の田坂でございます。

この組み合わせがないと、もはや自分ではないというアイテム、みなさまもお持ちでしょうか。「メガネ」でしょうか。「つけま」でしょうか。すでに身体の一部でございましょうか。

しかしながら、万が一にも自賠責への請求が必要になった場合、メガネは人身損害に含まれますが、「つけま」は対象外となりますので、くれぐれもご留意くださいませ。

さてワタクシ、そのような豆知識が蓄積されていく職務にあたっておりますところ、時々、いわゆる「コワい人」と面談せねばならないことがございます。

あれはまだ、ワタクシが新人だったころの試練でございます。
いらっしゃったその方は、鋭い眼光にスキンヘッド、いかにも武闘派な体格をイタリア製のスーツに包んだ、見るからにアレな方面の男性でございました。

ただ一つ。なぜか胸元に、ミニチュアダックスフンドを抱いておられる点を除いて。

これは一体、何がどうなってこの組み合わせなのか。ワタクシは混乱しながらも、そこには触れてはならない気がして、ごあいさつもそこそこに着席させて頂きました。

事件が起きたのは、その次の瞬間でございました。
かのミニチュアダックスフンドが勢いよく飛び出し、ワタクシのひざへ潜り込んできたかと思いきや、立ち上がって顔を舐めはじめ、あろうことか、そのままシャアっと粗相をしてしまったのです。

ワタクシの悲鳴を聞きつけ、飛び込んでくる先輩や上司。一瞬で飼い主のもとに戻ったミニチュアダックスフンド。あたかもワタクシ自身の粗相であるかのような惨状。そんなになるまでに恐ろしい思いをしたのかと広がる誤解。

後日、この「コワい方」からは、高級バウムクーヘンと共に丁寧なご挨拶を賜り、懸案の課題もなし崩し的に解決いたしましたが、これもお犬さまのおかげと感謝すべきかは、評価の別れるところかと存じます。

とにもかくにも、弊社の受付には、以来、蘇民将来子孫也のお札よろしく、ミニチュアダックスフンドのぬいぐるみが置かれております。何かの折には飛び出して、お小水をまいてくれるのかもしれません。

以上、取り急ぎ失礼いたします。