ふちゃぎ

初秋の候,ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。

ようやくのことで手に入れた「タンナファクルー」もすでに賞味期限切れとなり,当職は黒糖パンをぎゅうぎゅうに固めたものを代用品とすることで,どうにか毎日を過ごしております。

しかしながら沖縄では,市井の注目ナンバー1のお菓子といえば,目下のところ,「ふちゃぎ」であるとのこと。こちらではその存在さえ知るものはおらず,娘の友人で,三線教室に通っているハナちゃんでさえも,「なにそれ。ネコの名前?」などと,謎が謎を呼ぶ反応を示すにとどまっております。

そのためこちらで「ふちゃぎ」について得られる情報は乏しく,せいぜい食品ペイデイセールのチラシ程度しか手段がございません。しかも残念ながら,今回に関しては,食パン「小麦のほほえみ」には「5枚切り」はない,ということしかわかりませんでした。

今や「ふちゃぎ」は,「沖縄三大『幻の銘菓』」の一つと申し上げても過言ではありません。

一口でいい,二口目は別にいらない。

このもやもやした気持ちを少しでも消化すべく,当職は今日の仕事を終えた後,「京都出町(でまち)ふたば」の豆大福を,まだ見ぬ「ふちゃぎ」の代用に求めたいと思っております。

この豆大福は,赤ちゃんの頬のようにやわらかく,それでいて伸びが良いお餅に,ほどよく塩の効いた「赤えんどう」がまぶされたもので,あっさり目の「こしあん」を引き立てる程度にしか特色がない,「食べてもらわな,わからしまへんやろなあ」という,ごくありふれた和菓子に過ぎません。

どうぞ皆さまは,当職のことはお気になさらず,「ふちゃぎ」を心ゆくまでご堪能くださいませ。

以上,取り急ぎ,失礼いたします。