消毒薬が焦げたにおい

実は田坂、社会には事務系として登場したものでありまして、戦力的には、赤いズゴックにわき腹をグサリとやられれるような、下級レベルでございました。

それが幾度かの改良強化を受け、自分で申し上げるのもなんですが、現在は事務クゥエル(「狂える」ではありません)ぐらいの強さを誇っておるわけです。管理職手当の名の下に、莫大な残業手当を放棄させられてもなお立ち上がれるほどに強靱な事務。まさに、「プロの起き上がりこぼし」といわねばならないでしょう。

その機動力から、田坂は今や、こうやって、お客様方に出向かせて頂くことも少なくありません(しかも雨天か炎天が多し)。しかし、ベースが事務なもんですから、ご商談とやらはとにかく苦手でして、先様が欧米風のボディラングウェッジの使い手でもあろうものなら、ヘラヘラ笑うだけのNOと言えない日本人を装うより他にありません。まあそんなときでも、去り際には「今日はこのぐらいにしといたるわっ!」と言い残してきますけどね(イン・マイ・ハート)。

だもんで、どちらかというと、ちまちまとひたすら総務という名の雑用に従事したり、黙々と起案に勤しむ方が、田坂は幸せなのです。いわばビジネスひきこもり。兵器的には「やわらか戦車」。他の追随を許さぬ弱さ、でございます。

田坂はIT系でも痛系でもありませんが、こういう事情から、毎日、割とPCの前で仕事をしています。むしろ、PCがないと仕事になりません。具体的には、一太郎とEXCELとインターネッツ。こうやって挙げてみれば、ワープロとiPhoneさえあれば事足りそうなとりあわせのような気もしますが、指揮官(自称)の機体が兵卒の量産型にメガチューンをしたものでなくてはならないことは、様式美なのです。
今思いましたが、ひらがなで「めがちゅーん」と書くと、いかにも威力が弱そうなへなちょこビームが、目から波線で出ていそうな雰囲気ですね。実のところ、田坂、だいたいそんな感じです。

で、本日。
田坂がふんふんとベルバラのオープニングテーマをハミングしながら、A4にして20枚ほどのレポートの「総括」を書きはじめていたときのことです。

なんか、薬っぼい「におい」がする。

マスクド・ライター田坂の不織布さえも通過して、鼻にツンとくる消毒臭。田坂は「オフィスの布亀」という二つ名を持つほど、薬のストックに長けているのですが、これはなんだか取扱免許が要りそうな本気さなので、マイ救急箱の子どもたちではありません。きょろきょろと見渡しても、どうにも正体がわからず、田坂は仕方なく作業に戻りました。

草むらに〜、名も知れず〜。軽快にキーをたたきます。もちろんブラインドタッチ。手元も見なければ、画面も見ない。咲いている〜、花ならば〜。
忘れもしません。
この「ば〜」のあたりで、それは起こったのです。

入力した文字が画面に出ていません。ていうか、マウスポインタも動きません。田坂とともに、XPまで育ったWindowsは、「強くなったのね」と使い手が頬を染めるほど、フリーズなどとは無縁だったはずなのに。PCもきっと、疲れてるんだろうな、と思いながら、電源ボタンをぎゅーっと押してリセット。レポートのことなら、一太郎がちゃんと自動バックアップをしているはずです。だからあなたも、Wordなんて、おやめなさいな。あくまで余裕。

しかし、
田坂のPCがふたたび立ち上がることは、ありませんでした。鼻歌もいつしか、アリスの「チャンピオン」に変わっています。バラはバラは、らいららいらい、らいららいららいららいらら〜い。

■状況
・電源を入れると、不必要にファンが回転し続ける。
・画面は真っ黒。もしくは闇。アズラムサライヤー(呪文)。
・機能停止前に、焦げた消毒薬のにおい。

田坂のレポートが閉じこめられているHDDは、根拠なく、ただ希望のみで無事のはずです。イエローハートは祈りのしるし、なのです。
今、ヤフオクで同型機入札中です。届き次第、有能なメカニックに命じて、HDDを移設します。落札前提。くれぐれも即決価格(4980円)とか入れないでください。

※TwitterでHDD乗換術の可能性に希望を託して下さったみなさま、ありがとうございます!やってみます!(ミドリ電化の気持ち)